ワルテルと天使たちと小説家

氷雪の美術館



 前夜に降った雪と強い風が、森の中に様々なオブジェを作り上げていた。

 標高2000メートル超の森の中は、まさに美術館。

 氷雪のアートの美しさ、厳かさに溜息をつくことを繰り返しながら登っていた。


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  1. 2017/02/12(日) 08:54:50|
  2. 登山
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白い森を征く



 前日に通過した低気圧がもたらした雪で、黒斑山腹の森は真っ白。
 まさしく、白い森と化していた。

 白一色の森の中を、山頂目指して登りはじめる。


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 標高2000メートル、登山道入口の気温はマイナス5℃。
 しかし、北風が強く冷たく、体感温度はマイナス15℃近かった。

 寒い。
 しかし、登り続けていると暑くなってくる。
 休憩を取ると、また寒い。

 脱いで着て、着て脱いでを繰り返しながら高度を上げていく。


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 途中、青空が垣間見られる時もあったが、基本は曇り空。
 途中から雪が降りはじめた。

 それも、粒が小さく固い霰のような雪。
 ばちばちと音を立てて登山ウェアにぶつかってくる。剥き出しの頬が痛い。

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 それでも、雪質はよかった。新雪は10センチほどで、その下は固く締まった根雪。
 アイゼンの刃を根雪に食い込ませて登る。

 結局、雪がなければ2時間弱の行程を、3時間半近くかかって山頂に到達した。

 景観はなかったけれど、美しい白い森を歩くのは最高に気分がいい。


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  1. 2017/02/11(土) 08:33:57|
  2. 登山
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奥穂高岳 3  ご来光編



 ご来光を待つ登山者たち。


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 茜色の地平線にぽつんと浮かんでいるのは、我が山、浅間山。
 この時期、北アルプスから眺めるご来光は浅間の近くから射し込んでくる。


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 カップル登山者もご来光を待つ。


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 そして、浅間山の麓から、太陽が顔を出した……


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  1. 2016/09/04(日) 09:43:07|
  2. 登山
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奥穂高岳 2  夕焼け編



 穂高連峰の稜線では凄まじい風が吹き荒れていた。
 持参したライトダウンを着込んで夕焼けを眺めに行ったのだが、寒い。風が強すぎ、冷たすぎるのだ。
 体感温度はもう氷点下。

 しかし、その強風のおかげでこの日の夕景は息を飲むほどの美しさだった。
 山肌に沿ってガスが沸き起こり、風に吹き消され、しかし、それに負けじとまたガスが湧く。
 オレンジ色の世界が、刻一刻とその姿を変えていく。


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 太陽は笠ヶ岳の肩のあたりに沈んでいった。
 ああ、本当に美しかった。
 翌朝のご来光より、この日の夕方の方が圧倒的にカメラのシャッターを切った。
 太陽が沈んだ後は山小屋に飛び込んで、ストーブに両手をかざした。骨の芯まで冷え切っていたのだ。

 夜になると雲はすべてなくなり、新月期だったこともあり、空は文字通り満点の星々で埋め尽くされていた。
 天の河も肉眼ではっきりと見ることができた。人生で最高に美しい星空だった。
 父ちゃん、星空を撮影しようと今回の山行では秘密兵器を持ち込んだのだが、風はおさまらず、三脚を立てることもできなかった
し、なにより、風の強さと冷たさに父ちゃんが耐えられず、撮影は断念するしかなかった。

 まあ、人生そんなもんよのう……
 でも、写真には撮れなくても、この目で見た。それだけでよしとしよう。






  1. 2016/09/04(日) 09:36:09|
  2. 登山
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奥穂高岳 1   登山編



 まずは上高地、合羽橋付近から眺める穂高連峰。
 行きは台風の影響で雨だったため、この景色は見られず。写真は帰りに撮ったもの。

 初日は上高地から横尾山荘まで。登山と言うよりピクニック的な装備された道を行く。
標準コースタイム3時間のところ、雨の中を2時間半で走破。
 どんだけ速いねん、おれら。
 多分、時速6~7キロぐらいで歩いてるんだろうな。

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 2日目は台風一過の晴天で、最高の登山日和。

 朝の7時に横尾山荘を出発、涸沢カールを経て、標高3000メートルに建つ穂高岳山荘まで、標高差1400メートルを一気に登
っていく。

 涸沢からの登山道は急登で、なおかつ、途中からはザイテングラートと呼ばれる急峻な岩稜を四肢を使って登って行かなければ
ならない。

 下を見てしまうと恐怖に足が竦んでしまうので、手もと足もとだけを見て、三点確保と呼ばれる岩山登りの基本を忠実に守って
登るのだ。
 充分な体力と技術があれば、ちゃんと登ることができる。

 だが、父ちゃんたちが下山している9月2日、ここでひとりの登山者が滑落死した。
 どういう状況でそうなったのかはわからないが、自分の力を客観視できないのなら登山はしちゃいかんと思う。

 父ちゃんだって、奥穂高岳や剣岳に登ってみたいという一心で、この5~6年、浅間山に登り続け、八ヶ岳や北アルプス、南ア
ルプスに登って力をつけてきたのだ。

 そしてやっと今年師匠から「奥穂高岳やってみるか」とおゆるしをもらったのだ。


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 恐怖と戦いながら登り続け、これまた標準コースタイムよりかなり速い時間で穂高岳山荘に到着した。

 もう疲労困憊。
 体力に余裕があれば、上の写真の涸沢岳に登ろうと言っていたのだが、断念。

 ザイテングラートを初めて登ると、肉体だけじゃなく。心も疲弊するんだなあ。怖すぎて。


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 3日目の早朝、奥穂高の頂を目指す。
 穂高岳山荘からは標高差200メートルだが、もういきなり垂直の断崖絶壁を登らなければならない。

 ザイテングラートも怖かったが、奥穂の岩稜はもっと怖かった。高度感が半端無い。落ちたら絶対に死ぬ。

 この怖さを経験したから、下山時のザイテングラートはさほど怖さを感じなくなっていた。


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 奥穂高岳山頂から眺めるジャンダルム。
 フランス語で武装警官や憲兵を意味する言葉で、穂高連峰を縦走しようとする者の行く手を阻む山ということで名付けられたら
しい。


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 ジャンダルムのてっぺんにいる登山者たち。

 父ちゃんもいつかあそこに行けるのだろうか……


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 山頂からは富士山と南アルプスの山々を一望できる。

 奥穂高岳は標高3190メートル、日本で3番目の高さを誇る山だ。
 前方に1位の富士山と2位の北岳、そして同じく3190メートルで3位の間ノ岳が並んでいる。

 ↓奥穂高岳山頂にて記念撮影。
 くたびれすぎていて、どこかの工事現場のおっさんにしか見えない(苦笑)。

 しかし、奥穂高岳は怖くはあったが、全身を使って山に登っているという充足感に溢れて最高の山だった。


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  1. 2016/09/04(日) 09:10:57|
  2. 登山
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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