ワルテルと天使たちと小説家

一瞬の光芒



 水曜日、離山に登った。
 霧が山を覆っていた。

 つい先日涸沢に行ってきたばかりなのだから、離山なんか楽勝だろうと高をくくっていたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
何度登ってもこの山は辛い。息切れはしなくなった。筋肉痛ももう起こらない。それでも、登るたびにきつさが増していく。

 もう少しで山頂だというところで雨が降りはじめた。ザックからレインウェアを出すのも面倒くさい。それほど疲弊していたのだ。
 だが、雨はすぐにやんだ。そして、唐突に日が射し込んできた。

 梢の間を朝日が突破してくる。霧がその軌跡を浮かび上がらせる。凄まじい。光芒の爆発だ。

 レインウェアを出すのは億劫だったのに、背中から素早くザックをおろし、カメラを出した。今日は撮影することはないだろう
と思いつつ、万が一なにか素晴らしいものに出くわしたときのためと思ってカメラはつねにザックに入れている。

 無我夢中でシャッターを切った。
 風が吹き、霧が瞬く間に晴れていく。
 ものの10秒足らずですべてが消えた。

 わたしと一緒に登っていた連中は、この素晴らしい光景が出現したことさえ知らないだろう。
 この日、この時、この場所にいた人間だけが巡り会えた幸福だ。

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  1. 2011/10/15(土) 09:07:04|
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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