ワルテルと天使たちと小説家

狂おしい週末

 東北に行く前に、車で浜松へ向かった。わたしが留守の間、連れ合いとワルテルを犬舎に預けるためだ。
 もちろん、それは口実でソーラに会いたかったのだ。

 わたしたちの到着を知ると、ソーラは「ぶごぶご、ふがふが」と意味不明のうなり声を放つ。いとおしくてたまらない。
 ソーラ、寂しかっただろう。父ちゃんが会いに来たぞ!!

 連れ合いとワルテルを別室に追いやり、ソーラとふたりきりでずっと過ごした。

 そのうち、ワルテルのいる部屋からヒンヒンと鼻を鳴らす音が聞こえてきた。
 聞けば犬舎はヒート祭りのまっただ中。ソーラだけではなく、多くの雌犬がヒートの匂いを撒き散らしていたのだ。

「外に出してよ、匂い嗅がせてよ、やらせてよ!!!」

 ワルテルはそう訴えている。目は血走り、息は荒く、落ち着きがない。
 これは大変なところに連れてきてしまったと天を仰いだが後の祭りだ。

 翌朝、わたしは家族たちを犬舎に残して新幹線に飛び乗った。

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 月曜日の昼過ぎ、犬舎に戻ってくると、ワルテルはげっそりとやつれていた。
 聞けば、ご飯を一切食べず、ヒートの雌犬の姿を求めて犬舎内を絶えずうろつき回り、眠らず、夜中になると遠吠えを繰り返していたという。
 それはそれは狂おしい三日間だったのだろう。

 ソーラにしばしの別れを告げ、車で軽井沢に向かう。普段、出発前後はなにかとやかましいワルテルが異様なほど静かだ。クレーとの中を覗くと、死んだように眠っていた。

 6時間のドライブ。
 家に辿り着くと、「ご飯、ご飯、ご飯、ぼく、死ぬほど腹減った-」とワルテルが訴える。ほぼ丸4日間、なにも食っていないのだ。そりゃあ、腹も減るだろう。

 ご飯をがつがつと食い終えると、ワルテルはまた死んだように眠りはじめた。





  1. 2011/10/26(水) 09:18:37|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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