
『暗闇で踊れ』
11月30日発売
双葉社刊 定価1890円
震災前に書きはじめたものを、震災後に出版する。
わたしだけではなく、多くの作家がそのジレンマに悩んでいることだろう。
現実では震災抜きの社会は語れないのに、この作品には震災のしの字も出てこない。
だからといって全面的に改稿する時間的余裕もない。
詐欺師姉弟と孤独な刑事の物語だ。
これの連載をはじめた直後、女結婚詐欺師の話題がメディアを独占して苦々しく思ったことをはっきりと覚えている。捕まるならこれが本になった後にしてくれよ~とろくでもない思いにとらわれたっけ。
カバー写真は仲間の
burgちん(写真家 藤本洋一)。
通常のエントリーはこの下になります。スクロール大変でしょうがご容赦を。
- 2011/11/30(水)
09:30:50|
- その他
-
| トラックバック:6
-
| コメント:5

こないだ、久々に千ヶ滝に行ってきたんだ!
父ちゃん、自分で山登るようになってからは千ヶ滝行ってもつまんないなんて言っちゃってさ! それに、夏の間は人も多かったし、秋になると熊との遭遇のおそれもあるからねー。半年ぐらい足が遠のいてたのかな?
11月に入っても軽井沢、人が多いよ。震災と原発事故のせいで移住者が増えたのかな。おかげで、ぼくたちいつまで経ってもノーリードで自由にお散歩することができないんだ。
だから、「今日は千ヶ滝に行くか? さすがにあそこなら早朝はだれもいないだろうから、久々にノーリードで好き放題していいぞ」って父ちゃんが言ったときは、ぼくもう尻尾ぶんぶんぶん!
ぼくたち山犬だからね。やっぱり、山に行くのが一番好きなんだ!!



父ちゃんの予想どおり、早朝の千ヶ滝にはだれもいなかったよ。熊ももう冬眠してる頃合いだし、全部ぼくたちで独占!!
あっちの匂い嗅いで、こっちの匂い嗅いで。山の中に住む動物たちの痕跡が残っててスリル満点!!
パトロールに飽きたらソーラと追いかけっこしてさ、楽しいったらありゃしないんだ。
どんどん先を進んでたら、父ちゃんがずーっと後ろで遅れちゃっててね、しょうがないから、ぼく、尻尾ぶんぶんさせながら父ちゃんが追いついてくるのを待つんだよ。
早く! 早く!! ってね。
やっぱり山は楽しいね~♪
- 2011/11/30(水)
09:14:22|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3

夕方の散歩に出ると、柔らかい西日が辺りを照らしている。
影が長い。
秋と冬にしか見られない光だ。
こうなるとシャッターを押す指の動きが止まらない。撮って、撮って、撮りまくって、それでも飽きたらずに撮りまくる。

集中するということは時間の経過を忘れるということだ。
どれぐらい写真を撮り続けていたのかはわからない。
しかし、気がつくとワルテルが不満たらたらの表情を浮かべていた。

父ちゃん、もう充分だろ? パトロールに行かせてよ!!
はいはい。もう、だいぶ日も落ちてきたし、撮影はここまでにしよう。好きにしていいぞ。
そう言うと、ワルテルはぱっと身を翻して走っていった(苦笑)。
- 2011/11/29(火)
08:49:39|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3

ファインダーを覗いていて、不意に圧倒的ないとおしさに襲われることがある。
やつらのふとした仕草、お互いをいたわっているような行動、それらと自然の美しさが重なると涙が溢れそうになることすらある。

高ぶる感情をこらえながら、そっと呟いてみる。
こういう時はなぜか英語だ。日本語にすると気恥ずかしくなるからだろうか。異国の言葉ならなんのてらいもなく口にすることができる。
My good boy, my good girl. I love both of you. I am proud of you.
永遠に存在するものなどどこにもない。
だからこそ、この一瞬を……
おれの愛する犬たちの、おれの自慢の犬たちの幸せを壊さぬよう、そっとシャッターボタンを押す。
- 2011/11/28(月)
09:09:29|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

今日は父ちゃん、東京出張。
今月は出張が多すぎるよー!! いったいトータル何日間留守番させられたんだろ?
父ちゃん、早く帰ってきてよね!!
- 2011/11/25(金)
09:00:23|
- 未分類
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

父さんの癖は朝起きたらすぐ空の様子を確かめること。その時のお空の具合によって、お散歩の時どんなカメラ機材を持っていくか決めるの。
10月まではお空見て溜息つくこと多かった父さんだけど、11月に入ってからは嬉しそうなの。
父さん、なにがそんなに嬉しいの?
「ソーラ、11月になってやっと、空と雲が秋のそれになったんだ。10月は秋だったり夏だったりの繰り返しだったんだぞ。でも今はすっかり秋の空、秋の雲だ」



わたしとワルテルには涼しくなって気持ちが良くてさいっこーってことしかわからないんだけど、空の色が違うんですって。雲の形が違うんですってー。
「秋とか冬って涼しくって雪が降って楽しいけど、モデル稼業の時間が増えるから大変だよ」
ってワルテルはぶつくさ言ってるのー。
確かに、春や夏より父さんが黒い箱構える時間格段に長くなるの。
秋の空と秋の雲が父さんにそうさせるのかしら?
大変だけど、頑張らなくっちゃなの!!
- 2011/11/24(木)
11:01:29|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2

金曜日の夕方、北軽の浅間牧場に行ったんだ。
アウトレットモールでバーゲンはじまったせいか、軽井沢、人だらけだったんだよね。ほんと、去年までとは大違い。
この時期、軽井沢に来る人はアウトレットモールに来て帰っていくだけだったんだけどさ、今年はそれ以外のところにも結構人出があるんだ。
浅間牧場の丘の麓の駐車場には車もなくって、いつもみたいに丘を独占! って感じでぼくたち途中からリード外してもらったんだ。ソーラも久々の浅間牧場でうっきうきだったよ。
パトロールしたり、ソーラと遊んだりしながら急勾配の坂をのぼって丘のてっぺんに出たらさ!
いつもはだれもなんにもいない柵の向こうの牧草地で牛たちが放牧されてたんだ!!
牛たちを見た瞬間、ぼくのスイッチが切り替わったよ。牛たち追いかけなきゃ!!
そう思って、走ろうとして身体に力を入れた瞬間──
「ワルテル、ステイ~~~~~っ!!!!!」 父ちゃんの怒声が丘に響き渡ったんだ。
ぼく、思わず凍りついちゃった。ソーラも凍ってたし、牛たちも驚いて一斉にこっちに顔を向けたよ。
それぐらいすっごい声だったんだ。
父ちゃん、凍ってるぼくのところにかけてきて、素早くリードをつけたんだ。
「危ないところだったー。おまえには前科があるからな」
もう何年も前のことなんだけどね。同じようなことがあって、ぼく、その時、柵を跳び越えて牧草地突っ切って、ボーダーコリーみたいに牛たちを追い回したことがあったんだ。
父ちゃん、ぼくの後を追いかけて牧草地全力疾走して、今にも死にそうになりながらぼくを捕まえたんだよ。
でも、大昔の話じゃないか! 父ちゃん、ぼく、もう大人の男なんだよ。無茶なんかしないからリード外してよ!!
「はあ? だれが大人の男だって? 父ちゃんが納得できるようしっかり説明してみろ」
いや、まあそう言われちゃうとぼくとしても困っちゃうんだけどさ……
父ちゃんの視線に耐えられなくなって明後日の方向いたら、ソーラが冷たい視線をぼくに浴びせかけてたよ。
なんだよ、ソーラだって牛たちみたら興奮してひんひん鳴いたくせに!!
「でも、わたしはワルテルみたいにいきなり突っ走っていったりしないのっ」
だってさ。
その後は、牛たちが視界に入らないところまで連れて行かれて、そこでやっとリード外してもらえたんだよ。でも、少しでも牧草地の方に近寄ろうもんなら
「ワルテル、ノーっつってんだろー、この馬鹿ちんがっ!!!」 ってまた、父ちゃんの怒声が丘に響き渡るんだ。
しょうがないから、ぼく、おとなしくパトロールに専念したよ。




- 2011/11/21(月)
09:46:54|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:5

今朝の気温はマイナス2度!
今シーズン一番の冷え込みだったの。朝の散歩の時、父さんも今シーズン初めてダウンジャケット出して着込んだの。
でもね、予想最高気温は13度。昨日より5度ぐらいあったかいの。で、夜から雨降って、明日はもっと気温があがるらしいのー。
父さん、次の低気圧で雪振るかなーってすごくわくわくしてたみたいだけど、期待はずれ~。
念のためって、北軽井沢や嬬恋の天気予報調べたけど、やっぱり雪は振らなさそうなんですって。
「もうすぐ12月だぞー!!」
って父さんぷんすかなのー。
浅間山も寒くて雨が降った翌日は雲に覆われてて、晴れたときにはもういつもの浅間山だったの。初冠雪したかどうかもわからないの。
例年に比べたら初雪、3週間以上遅れてることになるのー!!
今年の冬はどうなっちゃうのかしら?


雪はまだかな? 雪はまだかな?
毎朝、毎夕、お散歩しながら父さん、ぶつぶつ言いつづけてるのっ!
- 2011/11/18(金)
10:02:17|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2

月曜と火曜、父ちゃんは仕事で札幌に行ってたんだ。
本当は、日曜日から札幌に入ってくれないかって言われてたんだけど、スケジュール調整が難しかったのと、なにより、父ちゃん、三日もぼくたちと離れてるのはいやだーって言ってさ、二泊三日のところを一泊二日に変更してもらったんだ。
おかげで月曜日はむっちゃくちゃタイトな日程でかなり疲れたらしいんだけどねー。
ホテルの部屋でひとり寝るとき「ワルテル、ソーラ、父ちゃん疲れたよ~。おまえたちを撫で撫でしたら疲れも吹き飛ぶのになー」って呟きながらベッドに入ったrらしいよ。


で、火曜日。用意されてた新幹線のチケットだと、父ちゃんが家に帰ってくるの夕方の遅い時間の予定だったんだ。
だけど、午後2時半ごろ、父ちゃんの車のエンジン音が聞こえてきたんだよ。
早くぼくたちに会いたくて、東京に着いたら一番早く乗れる新幹線のチケットに変更して帰ってきたんだ。
もちろん、ぼくとソーラは半狂乱!
父ちゃんだー、父ちゃんだ-、父ちゃんだーーーーーーーっ!!
父さんなの、父さんなの、父さんなのーーーーーーっ!!
ぼくたち、母ちゃんと一緒に良い子でお留守番してたんだからねっ!
玄関のドアががちゃって音を立てて開いて、父ちゃんが言うんだ。
「グッボーイ、ワルテル。グッガール、ソーラ」
そしたらもう、ぼくたちの尻尾、ぶんぶんぶんぶんが止まらなくなるなんだよ。
ハグしてもらってたくさんたくさん撫で撫でしてもらってぼくたちは大満足。
父ちゃんもね、「ああ、おまえたちの喜ぶ顔見たら疲れも吹き飛んだな」ってにっこにこ。
ぼくたちも一緒に連れてってくれたら、どこへ行ったって疲れ知らずの父ちゃんなのにねー。

- 2011/11/16(水)
09:27:17|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:5

11月になってやっと、わたしたちの朝と夕方の散歩の時間に朝焼けや夕焼けが訪れるようになったのー。
父さんが心待ちにしてた季節なのっ!
「ワルテル、ソーラ、急げ~。朝焼けが終わっちゃうぞ!」
「夕焼けイマイチだから、もうちょっとお散歩してようか」
父さんったら、せわしなく空を見上げてはいちいちうるさいの。雲が厚くて空が輝かないとがっかりになっちゃうし、空が燃えたら燃えたで、ああしろこうしろって細かく指示が飛んでくるのー。
わたしもワルテルもモデル業が大変なんだけど、父さんが喜ぶから毎日頑張ってるの。
週末ごとに降る雨のせいで、紅葉もすっかり終わりに近づいて、雪が降るまでは葉っぱの落ちた木が並ぶ殺風景な景色が続いちゃうの。でも、朝焼け、夕焼けは凄いの。そんな殺風景な世界を劇的に彩ってくれるのー♪


ワルテルのエロエロ大魔王もだいぶ落ち着いてきたし、これからどんどん寒くなっていって、いずれ雪が降って、そしたら、本当の本当にわたしたちの季節の到来なの。
初雪はいつ降るのかしらー?


父さん、また出張が入っちゃったから、火曜日の更新はおやすみさせてもらうのー。
- 2011/11/14(月)
09:00:53|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:1

夕方、犬たちと散歩を終えた帰途、東の空に満月が昇った。
犬たちも一緒に撮りたかったのだが、レンズのすぐ先はもう畑。泣く泣く諦めた。

- 2011/11/12(土)
09:30:00|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2

朝起きたら冷たい雨!
父ちゃん、辛抱たまらず床暖をonにしたよ。それから暖房もスイッチオン!!
散歩の時も「寒い~、冷たい~」ってずっと愚痴ってるんだ。
本格的な冬の寒さより、この時期の冷たい雨の方が身体にこたえるみたいだねー。
それほど寒いのにさ、明日になったらまた気温があがるんだって。なんだか困っちゃうよ。
でも、軽井沢でこれだけ寒いんだから、きっと浅間山の上の方は氷点下。雪が降ってるんじゃないかな。ってことは、今シーズンの初冠雪が見られるかもね。例年より十日ぐらい遅い感じだけど、季節は間違いなく移り変わってるんだ。
この冬もたくさん雪遊びができるといいねー!
- 2011/11/11(金)
09:00:08|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6

昨日の夕方から急激に気温が下がりはじめた。
寒い寒い。ヒートテックでは間に合わないので登山用の下着を掘り出して着込んだ。
寝るときはソーラが湯たんぽ代わりだ。ワルテルより断然暖かい。セミダブルベッドふたつに、人間ふたりと犬が二頭、並んで寝る。
一昨日までは犬たちは暑がってベッドで寝るのを嫌がっていたのに……
それでも、例年の11月よりは暖かいのだ。まだ床暖も入れていないし、暖房も沈黙したまま。すでに降っているはずの初雪もまだだし、浅間山が冠雪する気配もない。
ああ、今年の冬はどうなるのか。
暖かくてもいい。雪が降ってくれさえすれば……
- 2011/11/09(水)
11:13:29|
- 軽井沢 春夏秋冬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6

「ソーラはほんと、ワルテルには寛大だなあ」
って父さんが言うの。
「他の雄犬がしつこく匂い嗅ぎに来たら凄い勢いで怒るのに、ワルテルのことはじっと耐えて我慢してるもんなあ」
だって、それはしょうがないの。ワルテルはわたしの群れの一員で、わたしのお兄ちゃんなの。
父さんにも母さんにもわたし絶対怒らないの。それと同じでワルテルのことも怒りたくないのー。
でもね、でもね、ワルテルがあまりにもしつこいから、一日一回ぐらいガウガウになっちゃうだけなのー。

そんなわたしを可哀想に思ってくれるのかしら?
父さん、散歩の時たまにわたしのリードだけ外してくれるの。そうすると、ワルテルの「させてさせて」攻撃から逃れることができてとっても快適なの~♪
でもね、父さんがわたしとワルテルのツーショットの写真撮りたくなると、ワルテルのリードも外されるの。
そしたら、また超しつこい攻撃が再開されるのっ(涙)
少しずつ、少しずつワルテルも落ち着いてきてるんだけど、この攻撃はいつまで続くのかしらー?

あ、そうそう。
赤ちゃんのことだけど、わたし、結局男の子を乗せなくて、人工授精っていうのをやられたの。
赤ちゃんができてるかどうかは12月にならないとわからないのー。
父さんは毎晩、わたしのお腹撫でながら「できてないよな? できてないって言ってくれ、ソーラ!」って言い続けてるの。
- 2011/11/08(火)
10:15:55|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:5

相変わらず頭の中は桃色のぼく!! 毎日ソーラに張りついてみんなに背後霊って呼ばれてるんだ。
ソーラは迷惑そうな顔してるけど、ぼくの攻撃をなんとかこらえてるよ。一日一回ぐらい凄い勢いで怒られるけどねー。
そんなエロエロ大魔王状態のぼくだけど、ソーラが戻ってくる前は良い子だったのみんな知ってるよね?
亡くなったラウル兄ちゃんが具合が悪くなって入院したって聞いた日、ぼくと父ちゃんで北軽の浅間牧場に行ったんだ。4年前、ラウル兄ちゃんと思いきり遊びまくった丘の上。
「ワルテル、覚えてるか。ここでラウルと遊んだんだよな。またここで一緒に遊べるといいなあ」
父ちゃん、夕焼けに染まっていく浅間山の空見ながら言ったんだ。
残念ながら、父ちゃんの言葉は実現しないことになっちゃったけど、この丘はなくならないからね。
ぼくとソーラを連れてここに来るたびに、父ちゃんと母ちゃんはラウル兄ちゃんのこと思い出すんだ。


思い出って大切だよね。
ぼくとソーラとの思い出をいつまでも忘れないようにって、父ちゃん、毎日カメラ担いで散歩するんだ。
- 2011/11/07(月)
10:06:04|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3
いつか、北アルプスの山々に登りたい。そのためにはそれなりの訓練が必要だ。
お師匠さんによると、北アルプスに登る訓練のため、八ヶ岳に登るのだという。しかし、いきなり本体に挑戦するのはきついので、まずは、八ヶ岳連峰の中で一番簡単だと言われている蓼科山に登ろうということになったのだ。

登山道入口は7合目。鳥居をくぐれば、もうそこからが登山道だ。気温は5度。日陰にいるとかなり寒く感じるが、風はない。
ゆるやかな登りを10分ほど歩くと、いきなり勾配がきつくなる。おまけに、歩きにくいガレ場が延々と続く。
きつい、つらい。
普通、登山道といえばくねくねと折れ曲がっているものだが、この山のそれは直登に近い感覚がある。とにかく勾配がきついのだ。
登り続けること一時間半、やっと、将軍平というところにある山小屋に辿り着いた。コーヒーを飲みながら一休み。
かなりくたびれてはいたが、休息をとれば体力は回復する。一年前に比べてずいぶん強くなったものだと実感した。
山小屋から先は、脚だけでなく両手も駆使してよじ登らなければならない岩場が続く。これは間違いなく直登だ。
これで一番簡単な山なの? 勘弁してよー(涙)
肩で息をし、汗まみれになりながらよじ登っていくこと40分、やっと山頂が見えてきた。


山頂に立って驚いた。広いのだ。足下はごつごつした岩だらけだが、底の浅いすり鉢状になっている。視界を遮るものがなにもない。360度の大パノラマが広がっている。
北は北アルプス、南に八ヶ岳、東には浅間山、西にも名もわからない山々が鎮座している。
その景色を目にしてそれまでの疲れも一気に消し飛んだ。

登山者がかなりいたが、これだけ山頂が広いと気にもならない。

山頂から望む北アルプス。どこかのだれかが槍ヶ岳を模して石を積んでいる。こういう遊びは気が利いているなあ。


南を向けば八ヶ岳が間近に迫る。
薄く雲をまとったその姿は圧倒的だった。

東には浅間山。普段見るのとは違う角度なので新鮮に感じる。
絶景に心を奪われていても、やがて下山開始の時がやってくる。溜息が何度もこぼれ出る。
あのきつかった登山道を今度は下るのか……
下りさえなければ登山はもっと楽しいのに……
二時間と少しかかった登りを、下りは一時間半。
精も根も尽き果てていたが、心配していた脚にはまだ余裕があった。間違いなく地力はついてきているのだ。
いつか、八ヶ岳の最高峰にも登れるだろう。槍ヶ岳や奥穂高にも登れるようになるだろう。
冬山の息をのむような美しい瞬間を写真に切り取る。そのために登山をはじめたのだ。まだまだ試練は続くが諦めることはない。
- 2011/11/05(土)
09:51:52|
- 登山
-
| トラックバック:0
-
| コメント:9

ワルテルのリードを母ちゃんが、ソーラのリードをわたしが持ってなんとか二頭を遠ざけた。
ソーラのテンションはだだ下がりである。せっかく家族と再会できたのに、喜びに浸る暇もなかったのだ。
ワルテルの診察が終わると、二頭を車に乗せた。ソーラはフリー、ワルテルはクレートの中だ。ワルテルはひんひん鳴き続けているが、ソーラは安心したのかすぐに眠りについた。
だが、ソーラの安逸は車の中の5時間だけだった。
家に着き、車から降りた途端、ワルテルはソーラの背中に顎を乗せる。そのまま両前足をソーラの腰に回し、へこへこに移行する算段なのだ。
ソーラは逃げる。ワルテルが追いかける。ソーラが怒る。ワルテルは一旦引く。しかし、絶対に諦めない。
少し前、犬舎のIさんが言っていた。「ソーラの拒絶の鳴き声は特別で、あれやられると大抵の雄犬は引いちゃうんですけどね」
けどね、なのだ。その先がある。
「ワルテルは絶対に引かないですよね」
ブラボー、ワルテル。おまえは雄犬の鏡だ。
しかし、ワルテルが雄犬の鏡なのは、ソーラにとってはただの迷惑でしかない。
散歩の時はわたしがコントロールするからソーラは無事だ。食事の時も、ワルテルにしつこく迫られることはない。
だが、それ以外の時間、ワルテルは背後霊と化してソーラにぴったりと張りついている。
脚をぴんと伸ばし、頭を高くかかげ、これまた高くかかげた尻尾をこれ見よがしに振る。
隙あらばソーラのお尻の匂いを嗅ぎ、ソーラの背中に顎を乗せ、いつでもへこへこできるよう、万全の準備を整えている。
ソーラはじとーっとした表情で耐えている。
ときおり、わたしや母ちゃんに助けを求めるような視線を向けてくるが「自力でなんとかしなさい」と言われるだけなので、またじとーっとした顔つきに戻る。

自力でなんとかしろと言っても、狭い家の中だ。ソーラがワルテルから逃げることのできるスペースは限られている。
なので、仕方なく、ソーラをひとり、寝室に入れてやる。ワルテルが入ってこないよう、ドアをきっちり閉めて。
そこでソーラはほっと一息つき、眠りにつく。寝室のドアの前ではワルテルがしつこくしつこくうろついている。最強のストーカーだ。
しかし、ワルテルは実に嬉しそうだ、楽しそうだ。ソーラの気持ちとは裏腹に、高揚しまくっている。

ソーラの受難の日々はいつまで続くのだろうか……
- 2011/11/04(金)
09:15:16|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6
犬舎の車から降りたソーラは不安そうな表情を浮かべていた。
病院が大の苦手なのだ。匂いだけでそこが病院とわかるのだろう。
どうしてこんなところに連れてこられたのかしら、いやなの、いやなのー。
そんな顔つきだった。
わたしはカメラを構え、声をかけた。
「ソーラ」
途端にソーラの表情が一変した。輝くような笑顔が浮かび、やがて真剣な目つきになって、リードを引っ張りながらわたしに向かって突進してくる。

ぶこぶこ鼻を鳴らし、身体をくねくねさせてわたしにまとわりついてくる。
ハグし、撫で、再会を喜び合った。
「ソーラ、ほら、あっちに母ちゃんとワルテルがいるぞ」
そう言うと、今度はソーラはワルテルたちに向かって突進していく。
「母さん、ワルテルぅ、寂しかったのー!!!」
しかし、待ち構えているのはワルテルだ。突進しているのはヒートが終わったばかりのソーラだ。
ワルテルは喜ぶソーラそっちのけでソーラのお尻の匂いを嗅ぎ、へこへこをするためにのしかかろうとする。
「ひーん!!」
ソーラの悲鳴が響き渡った。
ああ、可哀想なソーラ……
明日に続く(爆)
- 2011/11/03(木)
09:14:41|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

今朝、ラウル兄ちゃんが虹の橋のたもとに旅立ったんだ。
ぼくとは両親が同じ、ぼくより一世代上のお兄ちゃん。まだ八歳だったのに……早すぎるよ、ラウル兄ちゃん。
四年前、雪の浅間牧場で一緒に遊んだこと覚えてる? 都会で暮らしてる兄ちゃんより、山育ちのぼくの方が体力もスピードも上だったけど、ラウル兄ちゃん、全然諦めなかったよね、めげなかったよね。
そのしつこさにぼく、負けて、吠えちゃったんた。「もうやめてよ!」って。
やっぱ兄ちゃんは偉大だって思ったよ。
おおらかでひょうきんで、家族のみんなに愛されたねー。
これも四年前、みんなで集まった伊豆のペンションで、ラウル兄ちゃん、プールに落っこちて溺れたよね。
ぼくの父ちゃん、今でもあの時のラウル兄ちゃんのこと思い出して大笑いしてるよ。
あんな犬、見たことないって。特別なワンコだったんだ、ラウル兄ちゃんは。
苦しまず、いたたにもならず、眠るように逝ったんだってね。父ちゃんの誕生日と姉ちゃんの誕生日を避けて逝ったんだってね。ラウル兄ちゃんらしいね。
ぼくの父ちゃんがパソコンのHDDの中から、雪の中で遊び回るぼくたちの写真引っ張り出してきたよ。
写真やっててよかったなあ、だって。





おやすみ、ラウル兄ちゃん。
兄ちゃんの大好きな家族が来るまで、虹の橋のたもとでゆっくりしてるといいよ。
みんな、ラウル兄ちゃんのこと忘れないからさ。

ラウルの父さん、母さん、欲しい写真があったら遠慮せずに言ってください。プリントしてお送りします。
- 2011/11/01(火)
11:32:36|
- その他
-
| トラックバック:0
-
| コメント:10

昨日は静岡の病院に行ってぼくの脚診察してもらって、そしたら浜松の犬舎の人がソーラを連れてきてくれて、みんなで軽井沢に帰ってきたんだ。母ちゃんももちろん一緒。
やっと家族勢揃いだよ。
詳しいことは明日のエントリーでね。一日10時間のドライブで父ちゃん、超くたびれモードなんだ。

- 2011/11/01(火)
08:49:41|
- Dog
-
| トラックバック:0
-
| コメント:1