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ワルテルと天使たちと小説家

お子ちゃまモード発動



「なんだか今日のワルテル、顔つきが違うなあ。調子がいいのかな?」

 自然療法を施してもらっている先生がしみじみとワルテルの顔を覗きこんだ。

「あー、違うんです」
 父ちゃんは慌ててかぶりを振った。
「ソーラがヒートで犬舎に里帰りしてまして、そうするとこの小僧、格好つけてなきゃならない相手がいなくなったってんで、お子ちゃまの顔になるんです」

 そうなのだ。ソーラが犬舎に行った翌日、朝起きると、ワルテルのお子ちゃまモードが発動していた。
 まず顔つきが違う。態度も違う。
 ソーラがいるときはどんだけ格好つけているんだというぐらい違う。

 ソーラがいるときは絶対に見せない顔で、態度で、しかも何度も何度も父ちゃんに甘えてくる。
 母ちゃんが風呂に入ったりするとお子ちゃま度はますますアップする。

 しまいには「ワルテル、もう勘弁すれー。父ちゃん、おまえを撫で撫でしすぎて腕が疲れた~」と父ちゃんがギブアップする。

 男というのは難儀な生き物だなあ、と自戒をこめて思う。

 このお子ちゃまモードはソーラが帰ってくるとぴたりとおさまるのだ。

12_0318_4.jpg

「そうか、ワルテル、ソーラの前ではいつも格好つけてるのか」
 先生がワルテルを撫でる。
「でも、それをさっ引いてもワルテル、いい顔つきですよ。調子がいい証拠です。本当に元気だもんなあ。知らない人に、この子癌なんですって言ってもだれも信じないでしょう?」

 そう。
 見た目からはワルテルの病気はわからない。まったくわからない。
 癌を完全に消そうなんて思わない。そのためには治療も厳しく辛いものになる。
 今のまま、元気なまま、癌と付き合っていくのだ。
 癌を亡くすためにワルテルがぼろぼろになってしまうのは本末転倒だ。

 お子ちゃまでもなんでもいい。父ちゃん、毎日腕が疲れるまで撫で撫でしてやっから。
 だから、この元気をいつまでもいつまでも続けような。

 

  1. 2012/03/22(木) 09:37:06|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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