ワルテルと天使たちと小説家

可愛い娘、可愛い妹



 荷物を部屋に運んで玄関に戻ってくると、奥の方で「ブコブコ、ヘゲヘゲ、ヒーン」と変な声で泣いている子がいた。
 ソーラだった。
 ほんの一瞬目の前を通り過ぎただけの父ちゃんにめざとく気づき「わたしはここよ、父さん、ここなのー!!」と猛烈な自己アピールをはじめたらしい。

 ああ、なんて可愛いんだろう。

 女子に夢中なワルテルとおしゃべりに夢中な母ちゃんは好きにさせておいて、ソーラを連れて荷物を置いた部屋に向かった。

「ソーラ、父ちゃんと一緒にねんねこしよう。久しぶりだなあ」

 ソーラはヒーンヒーン、クーンクーンと何度も甘えた声を出す。
 我が家にいるときはついぞ聞かない声だ。
 寂しかったんだなあ。

 ソーラを撫でる。全身を撫で回してやる。

「ソーラ、こんなところに傷跡があるぞ。こっちにも、あっちにも」

 ソーラの身体は傷だらけだ。
 家にいるときは可愛い娘、可愛い妹だが、犬舎にいるときは戦うおねーさんなのだ。

 今回も「きょーいく」しまくり、柱を壊し、ベッドを壊し、年上のおねーさんにも「きょーいく」しようとして怒らせ、しかし怯むことなく戦って、相手を圧倒していたらしい。

 うちにいるソーラからは想像もつかない逞しい姿だ。
 父ちゃんの娘でいるときと、犬舎のきょーいく係になるときは犬格が変わるのだろうか。
 犬って本当におもしろい。

 眠気に襲われてあくびをすると、ソーラの甘え鳴きもおさまった。
 やっと、父ちゃんはもうどこにもいかないということが納得できたみたいに。

 ソーラのおっきな身体を枕にして、父ちゃんは寝た。

12_0415_1.jpg

 そうそう、ソーラとワルテルが再会したときのことだ。
 周りは犬だらけ。ヒートが終わった直後のソーラはまだいい匂いが残っているので雄犬たちに狙われる。
 ソーラは逃げ回り、逃げ惑い、しかし、ワルテルが近くに来たら動きを止めてワルテルの匂いを嗅いだ。
「ワルテル~!」
 再会した喜びを爆発させようとしたソーラだったが、雄犬たちが突進してきて、慌てて逃げはじめた。

 ワルテルはルチアちゃんという女子に夢中でソーラには一瞥もくれなかった(苦笑)

 そんなワルテルでも、周りに他の女子がいないとソーラにくっついて離れない。

 ソーラは久々の我が家でのんびりすることもできず、背後霊と化したワルテルにうんざりした顔で応じている。

12_0415_2.jpg



  1. 2012/04/17(火) 11:18:46|
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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