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ワルテルと天使たちと小説家

ありがとうの気持ち



 薬を飲ませるのが大変なのだ。
 錠剤はいい。ご飯に混ぜ込んじゃえば文句も言わずに一緒に食べてくれる。

 問題は、液体の薬だ。

 ホメオパシー、フラワーレメディ、etc。

 たった一滴飲んでくれればいいのだが、それが難しい。
 医者からは、鼻に一滴落とせば自分で舐めとってくれるから、と言われていたのだが、ワルテルは徹底拒否。
 なので、指に水滴を落とし、それを舐めさせる。
 最初はそれも嫌がっていたが、ちらっとでも舐めてくれたら誉めたおす作戦が功を制して、今ではいやいやながら舐めてくれるようになった。
 それだって、一日何度も繰り返されるのだ。最後の方は「もういいよ、父ちゃん」てな態度で顔を背けるので、薬のついた指を口に押し込んでやる。

 もちろん、その後で「ありがとうな、ワルテル」と言うことは忘れない。

12_0507_1.jpg

 一番大変なのは、咳を鎮めるための薬だ。
 これは二種類の液体を混ぜ合わせて飲ませるものなのだが、漂白剤のような匂いがする。
 人間でも一瞬、うぇっとなる。嗅覚が優れているワンコに飲ませるのは至難の技だ。
 リンゴジュースに混ぜてやれば飲みやすくなるとは言われたが、もう、薬の匂い嗅いだ瞬間から「先生、これ、犬絶対に飲まないよ」と父ちゃんは言った。
 先生、研究者タイプで、ちょっと世間ずれしているところがあるのだ。

 しかし、ワルテルのため、なんとしてでも飲ませなければならない。それも、それなりの量を。
 ただのリンゴジュースじゃ飲まないことは自明の理なので、頂き物のとても美味しいリンゴをすり下ろす。
 掌に注射器で吸い上げた薬を、2、3滴落とす。それをすったリンゴひとつまみと混ぜ合わせ、ワルテルの口元に持っていく。
 ワルテルは匂いを嗅いだ瞬間そっぽを向く。

 ここからが勝負だ。
 左手で薬をつけていないすりリンゴを摘み、ワルテルの口元に持っていく。ワルテルはそれを舐めとる。すかさず、薬がついた方のリンゴを口に押しつける。
 ワルテルはそれも舐め、顔をしかめてそっぽを向く。

「ワルテル、食べたな。偉いな。父ちゃんと母ちゃんのためにありがとう!!」

 もう、大袈裟なぐらい撫で回し、褒めそやし、感謝する。

 ワルテルが尻尾を振りはじめる。

 また同じように薬をつけたすりリンゴを手に乗せる。
 ワルテルが舐めとってくれる。

「ありがとう、ありがとうな、ワルテル。もうちょっと頑張ろうな!!」
 さらに撫で、褒め、感謝する。

 そんなことを繰り返し、やっとすべての薬を飲ませ終えると、リンゴをすってから優に30分は経っている。
 これを毎晩繰り返すのだ。

12_0507_3.jpg

 しかし、薬が効いているのかいないのか、ワルテルの咳は収まりつつある。

 父ちゃんと母ちゃんがワルテルのために頑張って、ワルテルが父ちゃんと母ちゃんのために頑張ってくれてるからだ。

 毎日大変だけど、本当に、本当に、ありがとうな、ワルテル。

12_0507_4.jpg

 もちろん、我が儘ひとつ言わずにワルテルを見守ってくれてるソーラにも、ありがとうだよ。



 

  1. 2012/05/16(水) 09:53:06|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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