ワルテルと天使たちと小説家

酔っぱらい父ちゃん大泣きの夜



 金曜日と土曜日、東京からばぐちんが、飛騨高山からコンすけ一家がやって来た。

 ずっと前から話していた我が家の庭でBBQをやるためだ。ついでに言っておくと、コンすけはカートをさらに使いやすく改造する仕事も担っていた。

 BBQは夕方はじまった。コンすけの息子、いっせいの傍若無人なふるまいを嫌がって、ソーラは父ちゃんの部屋から出てこないし、ワルテルは居間のベッドでおやすみだ。

 野菜は我が家が用意したが、その他の焼き物は全部コンすけが持参してくれた。鶏肉、豚肉、牛肉、鮎の塩焼き、海老、その他諸々。

 父ちゃんと母ちゃんにとっては久々の息抜きというか、楽しいひととき。

 ふと我に返り、父ちゃんは居間に戻ってワルテルにご飯をあげた。
 ワルテルは自分のご飯には見向きもせず、父ちゃんの指の匂いを激しくくんくんくんくん嗅いだ。
 肉や魚や海老の匂いがたっぷり染みこんでいるのだ。
 そして、ご飯は食べなかった。

 その瞬間、父ちゃんは大泣きしてしまった。

「そうだよな、ワルテル。食べたいものを食べたいよな。野菜ばっかりのスープじゃなくて肉食べたいよな。ごめんなー」

 泣いても泣いても涙は止まらなかった。

 もう逝ってしまうのだと諦めるなら、なんでも好きなものを食べさせてやりたい。
 でも、まだだ。先生だって諦めてないのに、父ちゃんが先に諦めるわけにはいかない。だから、心を鬼にしてワルテルが食べたいものではなく、ワルテルの身体が必要としているものを食べさせる。

 それがわかっていても、酔っていたから、感情が弾けてしまった。

 ごめんな、ごめんな、可哀想にな、ワルテル。


 今、ワルテルのスープには少量の羊肉が入るようになった。
 ワルテルはそのスープを飲みながら、これじゃなくて、こないだ父ちゃんたちが庭で食べてたやつがいいという顔をする。

 ごめんなー、ワルテル。

 
P.S.
 西洋医学で言うところの食餌療法とマクロビオティックは似て異なるものです。
 西洋医学の医者は笑うのでしょうが、自然療法の医者も西洋医学の医者を笑います。
 患者が、家族がどちらを選ぶかです。我が家は後者を選んだので、だれになにを言われても迷いません。
 そもそも、組織球性肉腫は、それが判明した途端、西洋医学の医者は99%諦めます。抗癌剤治療を勧めるのも、治すためではなく、延命のためです。
 なので、西洋医学の医者がなんと言おうと、知ったこっちゃありません。
 さらに言えば、ワルテルは肉を食べたくても今は身体が受け付けません。吐くか、下痢をするのです。
 一度に食べられる量もきわめて少量です。
 少しずつ、少しずつ、食べられる量、食べられるものを増やしている最中なのです。


  1. 2012/09/09(日) 10:28:32|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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