ワルテルと天使たちと小説家

尻尾



 病院に行くたびに、先生のにっかにかが増していく。
 ワルテルの回復が我がことのように嬉しいらしい。

「凄いな、ワルテル。たいしたもんだ!!」

 先生はにっかにかだけど、ワルテルはぶんむくれだ。

 なんでもいいから早く終わらせて家に帰ろうよ~
 ワルテルの顔はいつもそう言っている。

12_0922_4.jpg

 今日、先生はワルテルの左脚を触診しながらぽつりと言った。

「立てとか歩けとは言わないけど、ワルテル、下半身動かせるようになるといいんだけどなあ」

 下半身っていうかね、先生……

 父ちゃんは先生に言った。

 まず、尻尾が動くようになってほしいんだよね。それが我が家の一番のプライオリティ。

 ワルテルが尻尾を振るのを最後に見たのはいつになるだろう。

 嬉しいときはもちろん、怒ってるとき、怖いとき、悲しいとき、ワルテルの尻尾はいつだってぶんぶん揺れていた。起きている時は四六時中揺れていたんだ。

 それが今はぴくりとも動かない。

 立って歩き回るワルテルを見たい。それは当然だ。
 だが、それより先に、父ちゃんや母ちゃんが撫で撫でしたら、ご飯を運んでいったら、ワルテルの尻尾がぶんぶん揺れてくれたらこれ以上の幸せなはいって気がする。

「そうか、尻尾かー。大丈夫、動かせるようになるよな、ワルテル」

 先生はにっかにかのまま、ワルテルの尻尾を優しく撫でた。

 ワルテルはぶんむくれのままだった(苦笑)。

12_0922_5.jpg



  1. 2012/09/25(火) 11:05:21|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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