ワルテルと天使たちと小説家

食べる



 昨日、ワルテルは病院から戻ると寝続けた。
 水は飲むが、ご飯には見向きもしない。
 先生曰く「満月が近づくと、消化吸収にもエネルギーを使いたくなくなるんじゃないかな」
 ただひたすらに寝てエネルギーを蓄えておくのだ。

 寝ては水を飲み、水を飲んでは寝る。

 今日はこのままご飯食べないんだろうなと思っていた。

 午後8時ごろだったろうか。
 ワルテルがむくりと上半身を起こした。
 虚ろな目で父ちゃんを見る。

「水か? それともご飯食べたいのか?」

 ご飯という単語に、ワルテルの耳がぴくりと動いた。

「そうか、ご飯か。待ってろ」

 大急ぎでご飯を用意し、ワルテルのもとへ運んでいった。

 自分からは食べない。しかし、父ちゃんの手に乗せたご飯をぺろぺろと舐めとって食べる。
 ゆっくり、ゆっくり食べる。
 いつもの量の四分の三を食べて、ワルテルは力尽きたようにまた眠りはじめた。



 手の上を動くワルテルの舌の柔らかさと温かさに胸がいっぱいになる。

12_0926_11.jpg


  1. 2012/09/29(土) 11:29:24|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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