ワルテルと天使たちと小説家

医食同源



 ワルテルは薬を飲まない──飲めないので、食事が治療のメインになる。
 薬といっても、自然療法専門のお医者さんなので、処方されるのも漢方薬やビタミンの錠剤だったりしたのだ。

 毎回、先生とああでもない、こうでもないとワルテルに食べさせたい、食べてほしい食材を吟味している。

 先日、検査をしてもらったら、ワルテルはビタミンBとEが足りていないという結果が出た。

 ビタミンBは野菜スープに酒粕を溶かすことで補ってきた。
 じゃあ、Eはどうする?

「生アーモンドがいいよ」

 先生が言った。簡単そうに。

 アーモンドね。生ね。ローストしてたり塩振ってないやつね、はいはい。

 というわけで、ネットで生アーモンドを買い、届いたものをすりこぎで叩いて砕き、さらに擂り鉢ですりすり粉末状にして、ご飯にかけてみた。

 期待と不安が交錯する。

 これまでにも、先生がこれを食べさせてやってくれと言った食材はいろいろあるのだが、ワルテル、嫌なものは食べない。てこでも食べない。
 これまで食べていたご飯に嫌なものをひとつまみ入れたら、ご飯そのものを食べなくなったという苦い経験を何度味わったことだろう。

「ワルテル、ご飯だぞ~」

 ご飯の器を寝ているワルテルのもとへ運んでいった。

 くんくんくんくんくん。

 ワルテルは寝たままご飯の匂いを嗅ぎ、それから、がばっと上半身を起こした。

「お? いい匂いするのか? 食う気満々か?」

 器を口元に持っていくと、ワルテルはがつがつと食べはじめた。
 それまでは父ちゃんか母ちゃんの手皿でしか食べようとしなかったのに、自分で食べる。がつがつ食べる。

「美味しいのか。そんなに美味しいのか、ワルテル~!!」

 ご飯をがつがつ食べるワルテルを見て、父ちゃんと母ちゃんは抱き合って喜んだ。

 アーモンドにはオレイン酸とか、身体にいいものたくさん入ってるから、これを食べてくれるのなら言うことはない。

 ワルテルはいつもの倍以上の速さでご飯を完食した。

12_1001_4.jpg

 擂り鉢にこびりついたアーモンドは、擂り鉢に水を注いでそれをソーラに与えてみた。
 いつもスープたっぷりのご飯を食べているソーラは、普段はあまり水を飲まない。だが、アーモンド水はがぶがぶ飲んだ。がぶがぶがぶがぶがぶっ!!

 そうかそうか、みんなアーモンドが好きか。
 よし。アーモンドを粉末にするの重労働だけど、父ちゃん、頑張るぞー!!



 と気合いが入りまくったのだが、今朝、ワルテルはアーモンド入りのご飯を、父ちゃんの手皿でしか食べなかった(涙)。
 飽きるのが早くねーか、ワルテル?


  1. 2012/10/04(木) 10:56:19|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

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