ワルテルと天使たちと小説家

最後の散歩



 雪音が来ると聞いたとき、父ちゃんは不思議に思った。

 ついこの前来たばかりなのに、また?

 しかも、いつもは母親とふたりで来るのに、今回はひとりだと言う。 

「わたしが行くと、ワルテルが元気になるから」

 そう言って、雪音はひとりで軽井沢に来ることを決めたらしい。

 それを知ったとき、父ちゃんは不覚にも泣きそうになった。


 10月7日の朝。
 本当は軽いピクニックになるはずだったのに、きわめて普通の散歩になってしまった。

 それでも、がっかりしたのは人間だけで、ワルテルはご機嫌だったろう。
 大好きな雪音が一緒にいたんだから。

 父ちゃんの心残りは、この日は天気が悪く、翌日リベンジするんだからとあまりシャッターを切らなかったことだ。もっと撮っておけばよかった。



 雪音、ありがとう。
 ワルテルは本当に嬉しかったと思うよ。だから、雪音がいるときに逝くことを決めたんじゃないかな。
 ワルテルは心の底からおまえのことが好きだったんだ。大好きだったんだ。
 9月に来たときは、ワルテルやつれてただろう? 目もいつも瞬膜がかかっておかしかった。
 でも、今回はきりっとした目をしてただろう? 雪音も「ワルテル、元気になりましたね」って喜んでたもんな。
 きっと、雪音にはハンサムな自分を覚えていてもらいたかったのかもな。

 父ちゃんと母ちゃんも、雪音には本当に感謝している。
 何度も言うよ。ありがとう。

12_1007_2.jpg

 
  1. 2012/10/10(水) 10:58:10|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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