ワルテルと天使たちと小説家

触れる



 時々、ワルテルに触れたくてたまらなくなることがある。

 ライオンのたてがみみたいな飾り毛は見た目ほどさわり心地がよくない。でも、口の周りの白い毛はビロードのような手触りで触り心地がよく、しつこく撫で回しては「いい加減にしてよ」とうざがられた。

 あの手触りが懐かしい、恋しい。

 でも、ワルテルに触れることはもうできない。寂しさだけが募っていく。

12_1022_3.jpg

 ワルテルに触れる代わりにソーラを呼ぶ。

 ソーラは大抵ベッドルームでひとりで寝ているのだが父ちゃんの呼ぶ声が聞こえるとベッドから飛び降り、駆け寄ってくる。

 さささささささささーっ

 ソーラはすり足で歩く。だから、その足音も独特だ。

 さささささささささーっ

 父さん、わたしのこと呼んだ?

 呼んだ、呼んだ。こっちへおいで、ソーラ。

 ソーラに触れる。

 ソーラは柔らかくて暖かくて、全身がビロードだ。毛質がワルテルとは全然違う。

 撫でてやると、ソーラはうっとりして、父ちゃんの腕や太股に顎を乗せる。

 ソーラの鼓動が伝わってくる。

 鼓動はこう言っている。

 大好き、父さん!
 父さん、大好き!!

12_1022_1.jpg

 ソーラには父ちゃんを癒す力が備わっているんだ。




  1. 2012/10/26(金) 09:06:06|
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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