ワルテルと天使たちと小説家

誓い



 文庫になる『走ろうぜ、マージ』のゲラを読んでいた。

 読み返すのは何年ぶりだろう。
 自分の書いた文章を目で追っているうちに、当時の記憶がありありとよみがえる。

 悪性組織球症だと診断され、余命三ヶ月と宣告された時のショックと深い悲しみ。
 あんなに悲しかったことは他にない。

 初めての犬、初めてのバーニーズ。

 マージはもう11歳を超えて、いつお迎えが来たとしてもおかしくなかったのに、漫然と、マージはずっと自分のそばにいるのだと思い込んでいた。


 マージは痛みに苦しみながら逝った。
 おれのせいだ。毎年のように化学治療を受けさせたから、マージは痛みに苛まれながら死んだのだ。

 ごめんよ、ごめんよ、ごめんよ、マージ。
 おれは無知だった。無知は罪だ。

 マージの骨は緑がかってぼろぼろだった。
 ほとんど化学療法を受けなかったワルテルの骨は真っ白で立派だった。

 マージのおかげだ。
 マージがおれに身をもって教えてくれたから、ワルテルは穏やかに逝けた。

 ソーラもアイセも、穏やかに旅立たせてやる。

 誓うよ、マージ。
 あんな苦しい思いをさせるのは、おまえが最後だ。

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  1. 2014/06/04(水) 08:30:41|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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