ワルテルと天使たちと小説家

いるんだよな……



 マイナス10℃の朝。
 アイセと暗いうちから散歩に出かける。

14_1215_3.jpeg

 厳しい寒さが悲しみを凍りつかせる。
 とにかく、身体を動かし続けていなければ冷気にすくみ上がってしまう。

 写真撮影のため、アイセをステイさせ、父ちゃんは新雪に足跡をつけないようぐるっと遠回りして撮影ポイントまで駆けていく。

 荒くなった息を整えながら振り返る。
 アイセがあらぬ方向をじっと見つめている。
 その視線の先にはなにもない。


 ああ、ソーラがいるんだな。おまえには見えるんだな。
 ワルテルが逝ったときもそうだった。ソーラがなにもないところをじっと見つめていた。

 アイセが見つめている先を、父ちゃんもじっと見つめる。
 なにも見えない。
 犬と違って人は汚れているから、見えるはずのものが見えないのだ。

 涙が溢れてきた。
 頬を伝う涙がすぐに凍りつく。

 もっと寒くなれ、おれの感情や思考が凍りつくまで寒くなれ。

 呪文のように同じ言葉を唱えながらシャッターを切った。



14_1215_2.jpeg

  1. 2014/12/17(水) 08:57:41|
  2. 軽井沢 春夏秋冬
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:24

カレンダー

11 | 2014/12 | 01
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

プロフィール

軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

walterb

Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する