ワルテルと天使たちと小説家

会いたくて……



 30代のころは、なにかに取り憑かれたかのように海外へ行っていた。
 ヨーロッパに行けば、日程は最低でも一週間。
 マージを母ちゃんに押しつけて、なにも考えずに出かけていた。

 マージには本当に申し訳ないことをしたと思っている。
 それでもきっと、マージは「わたしは幸せだったのよ」と言ってくれるだろう。

 だから、父ちゃんは海外に行くのをやめた。きっぱっりと。
 少しでも長く、犬たちと一緒にいたいから。マージと同じような目に遭わせたくないから。


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 今回のイタリア行きも、仕事のため、仕方なく行く羽目になった。

「余計なこと考えないで、楽しんで来なさいよ」

 母ちゃんにそう言われて送り出されたが、犬を散歩させているイタリア人が視界に入るたびに、アイセとマイテのことを考えて、溜息をついていた。

 元気にしてるかな?
 楽しくやってるかな?
 会いたいなあ。ハグして撫で撫でしたいなあ。
 


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 そんな毎日を過ごし、やっと帰国して犬舎にすっ飛んでいった。

 アイセ、マイテ、父ちゃん帰ってきたぞ!!

 大歓迎を期待していたのに、目につくところに二頭の姿はない。

「アイセとマイテは?」

 母ちゃんに訊いた。

「アイセはご飯食べたばかりだから、部屋で休ませてる。マイテはシャンプーしてもらってブロー中」

 そ、そんなあ……尻尾ぶんぶん振って、飛びついてくる二頭を期待してたのに。そんな二頭をがしっと抱きしめて、もふもふしたかったのに!

 胃の中のものがこなれた頃合いに、アイセと再会し、その後でマイテとも再会した。

 二頭とももちろん大喜びだったけど、父ちゃんの心は複雑。

 すべてはフライトの遅れのせいだ。
 本当なら夕方前に帰国してるはずだったのに。
 ご飯やシャンプーの前に犬舎に到着してるはずだったのに。

 うぇ~~~~~~~んっ(号泣)



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  1. 2015/05/30(土) 09:18:29|
  2. Dog
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軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

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Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

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