ワルテルと天使たちと小説家

北岳



 上の写真、父ちゃんの隣にいるのは、今回のガイド役を務めてくださった先輩作家の樋口明雄さん。

 登山者のウンコまみれの富士山に登るつもりはないので、この北岳が父ちゃんの登山人生の最高峰ということになるだろう。


14_1003_15.jpeg

 今回の山行、なにが素晴らしかったかと言えば、それはもう紅葉に尽きる。

 事前に樋口さんから聞いていた話では、南アルプスは赤く染まる木はナナカマドぐらいで、ナナカマドも紅葉したらすぐに散ってしまう。なので、南アルプスのそれは紅葉ではなく、黄葉なのだということだった。

 だが、今年は冷夏のせいか、紅葉と黄葉の時期が一致して、それはもう見事な錦秋の山となっていたのだ。

 はじめて登る南アルプスでそんな偶然に出会えるとは、さすが父ちゃん、山に愛でられている男である(苦笑)。


14_1003_16.jpeg

 いやしかし、北岳は予想以上に険しい山だった。
 急登に次ぐ急登で身体を休める暇がない。
 おまけに、負けず嫌いの男7人組というパーティで登ったため、登攀速度が速い速い。
 登山道入口から初日に宿泊した白峰御池小屋まで、1500メートルから2200メートルを、一般的なタイム3時間のところを2時間で登ってしまった。
 ひーはー言いながら。

 明日はさらにきついと聞いて、一瞬、来たことを後悔してしまったぐらいだ。


14_1003_19.jpeg

 天気予報では、翌日の天気は良くも悪くもない、朝方はガスか雨だろうということだったのだが、午前4時ごろ尿意に目覚め、窓の外を覗いてみると、満天の星。
 なんと、天気予報が外れて快晴となっていたの。

 またまた父ちゃん、恵まれる。
 登った山で晴れなかったことはないのだ。



14_1003_23.jpeg

 朝日にきらめく紅葉を愛でながら急登を登る、とにかくひたすらに登り続ける。
 あまりの険しさに、二度ほど心が折れそうになったが、歯を食いしばって足を動かした。

 どうにかこうにか稜線まで辿り着いたのは出発から2時間半後。

 北に目をやると、雲の下に隠れてその姿こそ見ることはできなかったが、中央アルプスの向こうに、御嶽が噴き上げる噴煙が見えた。



14_1003_31.jpeg

 南アルプスの女王とも呼ばれる仙丈ヶ岳を右手に臨みながら稜線を登る。
 標高3000メートルにある肩の小屋に到着したのが9時ジャスト。

 腹ぺこでもう一歩も動けそうになかった。
 朝の5時に朝食を食べてから、ずっと動き続けていたのだ。

 肩の小屋でラーメンを食べ、少し休憩してから再出発。

 しかし、この休憩が大誤算だった。

14_1003_34.jpeg

 それまではこれ以上は望めないというぐらいの快晴だったのに、仙丈ヶ岳をガスが覆いはじめた。
 そして、山頂まであと10分というところになって、そのガスは北岳までその魔手を伸ばしてきたのだ。

 山頂に辿り着いた時には、すべては白に塗り潰された世界。
 絶景もかき消されてしまった。
 肩の小屋で休憩しなければ……でも、休憩してエネルギー補給をしなければ、ここまで登ることもできなかった。

 父ちゃんは山における晴れ男だが、樋口さんは雨男らしい。
 途中までは父ちゃんのパワーが勝っていたのだが、山頂に着く頃には父ちゃんくたびれすぎて、樋口さんのパワーに負けてしまったのだ(苦笑)。

 まあ、残念ではあるけれど、これもまた登山。
 標高3000メートルまでは絶景を楽しめたのだから、それでよしとしよう。



14_1003_37.jpeg

 登りはきつかったが、下りは辛かった(涙)。

 なにしろただでさえ険しい山なのに、一日で標高差1000メートルを登り、1600メートルを下らなければならないのだ。

 途中から脚が言うことを聞かなくなる。が、それでも歩き続けなければ帰れない。
 膝に痛みが走り、太股の筋肉が悲鳴をあげても、とにかく下るのだ。




14_1003_53.jpeg

 なんとか下山したのは午後3時半。
 午前6時に山小屋を出発したのだから、のべ9時間半、歩き続けたことになる。
 ああ、本当にしんどかった~。

 北岳、素敵な山だが、父ちゃん、今後は二泊三日でなければ絶対に登らない(苦笑)。



14_1003_57.jpeg




  1. 2014/10/04(土) 13:08:15|
  2. 登山
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
<<富士山 | ホーム | 無事帰りました>>

コメント

すばらしい!

こんな世界を見せていただけて、感激です。

樋口明雄さんの「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズ、大好きです。3作目は来年でしょうか・・・

馳さんが、山を舞台に書かれるときは、写真を何枚か、入れてほしい・・・
  1. 2014/10/04(土) 14:33:34 |
  2. URL |
  3. く~り #lu3YW49c
  4. [ 編集 ]

お疲れのところ、素晴らしいフォト&登山記をありがとうございます♪

(どうか台風にお気を付けてー!)
  1. 2014/10/04(土) 18:09:45 |
  2. URL |
  3. chako #-
  4. [ 編集 ]

素晴らしい…写真ですね。
写真を見ながら、ゾクッとしました。

絶好の紅葉でお天気抜群!
素敵な山登りで、羨ましい限りです…。
  1. 2014/10/04(土) 23:57:35 |
  2. URL |
  3. ちよ #dRz8FbHM
  4. [ 編集 ]

ザ・秋

やっぱり日本の秋はこうでなくちゃ。
美しい日本の風景を残したいですね。
まずはゴミの持ち帰りから始めます。
  1. 2014/10/05(日) 16:30:35 |
  2. URL |
  3. 犬飼い見習い #-
  4. [ 編集 ]

ひゃー!

自然が造り出す色って
なんて美しいのでしょ

北岳登ってみたいです!!!
  1. 2014/10/08(水) 16:33:57 |
  2. URL |
  3. さとりん #qUMnaME2
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://walterb.blog103.fc2.com/tb.php/1066-ae6ef0dd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

プロフィール

軽井沢で犬とともに暮らしています。 Canon EOS 7Dが愛機。レンズはそこそこ。

walterb

Author:walterb
 かつては夜の繁華街の住人。
 今は田舎暮らし。
 ネオンライトも雨上がりの森も、同様に愛す。

 冬が好きなのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する